「いまからはじめる電子工作」:電子工作法

■1.5 プリント基板製作(p.45)

 ●1.5.3(4)プリント基板加工機(p.51)
【2006/6/11掲載】動画、加工例あり

←写真をクリックすると、デジカメ動画を再生します。
 プリント基板加工機とは、写真のような数値制御(NC)プライス盤のプリント基板用と言える物です。実際、NC工作機械のGコードに準拠していますが、使用する上では専用ソフトを使いますので、あまり難しさを意識することはありません。加工する様子は見ていて楽しいです :-)

 左の写真のプリント基板加工機は、ミッツ株式会社のEleven-T model40です。ミッツ社からはp.51の写真原稿を提供していただきました(ありがとうございます)。

 このプリント基板加工機の存在は、ポリテクカレッジ京都(西舞鶴)の先生に紹介して貰いました。大変上手に使いこなしておられ、オープンキャンパスでも製作したプリント基板で、PICマイコン等の電子工作の体験実習をされています。
 舞鶴高専では電気情報工学科(電気工学科から改名)にまず導入されました。2003ロボコンの「拍手鶴采」(近畿地区大会優勝&特別賞(HONDA)、全国ベスト8)の制御基板は、それをお貸りして製作されました。製作した学生が記述した「資料」(←クリック!!)は大変良くできていますので、ぜひ一度ご覧下さい。
 そして、2005年の「鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴(さんかくしかく)」(近畿地区準優勝、全国ベスト8)の活躍もあって、もう一台、この写真のプリント基板加工機の導入が実現されました。現在はFA実験室に設置してありますが、ロボコンはもちろん、PBLミニロボコン(電子制御工学科4年生)、オープンカレッジ、公式電子工作教室、高専祭、そして卒業・特別研究など、いろいろな場面で使用していく予定です。
 また若手技術職員(技官)の方が、詳細な手引き書を作成中で、近い将来に一通りの手順を体験していただく公開講座を計画しています。(時期が来ましたら、ご案内いたしますので、ご期待下さい)
 もちろん、産学協同の研究開発での試作のためにも使えますので、ぜひお問い合わせください。

 ざっと加工手順を紹介すると次のようになります。
  1. パソコンのプリント基板パターンエディタのPCBEやEAGLEから、ガーバー(輪郭)データ、ドリルデータを出力します。これはもちろん、プリント基板加工機の接続されていない一般のパソコンで作業できます。
  2. プリント基板加工機の(USB)接続されているパソコンで、専用ソフト(Flash for Win)で、上記データを読み込みます。
  3. 加工順序は次のとおりです。   
    1. ベーク板の「下敷き」の上に生基板をテープで止め、原点合わせ(HOME位置)をします。
    2. 90度ミリングカッタを取り付け、余白部に試し彫りします。最小幅は0.1mmくらいですが、通常は0.3mmくらいにします。この調整が一番重要です。
    3. パターンの輪郭を彫ります。2,3度オフセットをつけて彫るので確実です。
    4. 0.8mmドリルに付け替え、深さ調整(僅かに下敷きに達するまで)をして、ドリル穴を開けます。穴直径に従ってドリルを替えるように指示が出ます。
    5. 3mmエンドミルに付け替え、深さ調整(皮一枚残す)をして、プリント基板外形の切り出しをします。
  4. フラックス(サビ止め)あるいは、グリーンレジスト(保護膜)を塗布します。
 彫り幅や深さ調節が一番の問題で、他のNC(MC)フライス盤でもある程度同様のことはできるのですが、ミッツ社のはヘッド(カバー)が優秀で、彫る(穴を開ける)際には、ヘッド(カバー)先端の3つの金属ボールでまず基板を上から押さえつけてから刃物が当たるので、大変安定してきれいに加工できます。また、刃物が小さいだけあって回転数が高く、またテーブル移動速度も速くて、快適に作業が進みます。また、ヘッド(カバー)はシャッターで囲えて、掃除機ホースを取り付けて切り子を吸塵できます(これが少々うるさい)。

【加工例】ナイトライダーLEDイルミネータの例です。舞鶴市の企画に協力する公式電子工作教室で使用する予定です。
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【輪郭彫りだし中】

【ドリル穴開け中】

【外形彫りだし終了】

【完成基板取り出し後】

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