「いまからはじめる電子工作」:設計製作の要点
■3.3 電圧可変安定化電源の設計製作(p.133〜)
●3.3.4 高精度で0V〜15V可変安定化電源(p.141〜)
【2006/6/12掲載】詳細な解説および回路図は本書をご覧下さい。回路図はp.142の図3.36です。
【2006/6/21】DCモータの駆動実験(デジカメ動画付)を掲載しました。問題ありません。
EAGLEによるプリント基板パターンはスクロールして一番下です。
また、設計計算表はその少し上にあります。
電子工作の3種の神器と言えば、オシロスコープと発振器そして電源です。その中でも最も基本的な土台となるのが電源です。ここでは、3章の集大成として、実験に適した「高精度で0V〜15V可変安定化電源」を紹介します。
ここに紹介する「高精度で0V〜15V可変安定化電源」の特徴は、以下のとおりです。
- 単電源OPアンプの採用で、0Vから可変でき、高速コンパレータ動作により大変高精度が得られる。
- 基準電圧発生源は、8.2Vツェナーダイオードと赤色LED(1.7V)で、温度特性を相殺している。
- セメント抵抗0.51Ωで過電流を検出し、パワートランジスタの保護回路を動作させる。
- 電圧設定ツマミが、メインと微調整用があり、正確に合わせ込める。
- 電圧降下率[%]、出力抵抗[Ω]とも0.2以下と大変高性能である。
- 電圧計と電流計で負荷状態をモニタできる。
このおかげで、トランジスタなどの特性計測実験などのための実験用電源に適しています。大変便利ですので、ぜひ一台(できれば二台)手元に置かれることをお勧めします。
【訂正とご案内】
- p.142 回路図中の可変抵抗VRの端子番号は端子番号1と3が互いに逆です。すなわち(1)が右側に回しきった方、(2)が中点、(3)が左側に回しきった方です。
- トランジスタのピン配置、特性については、
「何がいるの」の「部品」:トランジスタ
を参照してください。
- ケース(シャーシ)の加工については、
「電子工作法」の1.6 ケース加工(p.52)
で紹介する予定です。しばらく、お待ち下さい。
- AC100Vを使用しますので、感電には十分に気を付けてください。いきなりスイッチを入れたりせず、テスタなどで非導通確認を確実に行ってください。
【モータ駆動実験】
【ツインギアボックス1.5V駆動】
←クリックするとデジカメ動画を再生します
掲示板で、「この電源はモーター等には使えないんですね?3Vで小型のマブチモーター回すと
ブルン、ブルン、と脈打つ感じになります。」と感想をいただいたので、こちらでも実験してみました。
結果としては、本電源とメーカ製直流安定化電源を比較してみたところ、有意差は認められませんでした。
左の写真の実験は、負荷がタミヤのツインギヤボックス(モータはFA130)で、左側はメーカ製の直流安定化電源(KIKUSUI,
PAB32-3)、右側は本電源で駆動しました。
電圧は無負荷で1.5Vです。確かに両者とも少し回転ムラがありますが、その程度は両者ともほとんど
変わりません。
【ツインギアボックス3V駆動】
←クリックするとデジカメ動画を再生します
電圧を無負荷で3Vとした場合です。1.5Vの時よりも両者とも回転ムラが大きくなって確かに「ウィン、ウィン、ウィン」
とうなります。しかし、その程度は両者ともほとんど変わりありません。
このような小さなDCモータではイナーシャおよびトルクが小さく、どうしても回転ムラが生じてしまうようです。
モータに速度サーボをかけて改善する(私はFPGAでPLLを組んでモータ制御を研究しています)というのが本筋ですが、
もとよりモータの素性が問題です。
【写真集】
【正面から】
左から、パイロットランプ付電源スイッチ、1A電流計、15V電圧計、右上が微調整用/右下がメインの電圧設定ツマミです。
【背面から】
左が放熱器に取り付けたパワートランジスタ2SA1264N、右上がヒューズホルダ、右下がゴムブッシュに通したAC100V入力コードです。
【右側面から】
赤の端子がプラス(正極)、黒の端子がグラウンド(負極)、の出力端子です。
【上面から】
【0V出力状況】
100Ωの抵抗を負荷としたときの0V出力状況です。
【5V出力状況】
100Ωの抵抗を負荷としたときの5V出力状況です。
【10V出力状況】
100Ωの抵抗を負荷としたときの10V出力状況です。
【15V出力状況】
100Ωの抵抗を負荷としたときの15V出力状況です。
【シャーシ内部全景】
底面四隅にはゴム脚を取り付けてあります。
【ヒューズホルダ取り付け状況】
AC100Vコードの引き込みはゴムブッシュを通し、またこのように一回くくって抜け止めとします。
【電源スイッチ取り付け状況】
この電源スイッチはLEDのパイロットランプ付です。パイロットランプはなるべく有った方がよいです。
【電源トランス一次側配線状況】
ACコードは太く柔らかく、キンキンに張らず、余裕を持って配線します。
【フロントパネル配線状況】
電流・電圧メータ、電圧調整可変抵抗(できれば密閉型・サーメット型が望ましい)、
出力端子が見えます。
【ユニバーサル基板への実装状況】
基準電圧源の赤色LEDが点灯しています。見えづらいですがツエナーダイオードを密着させて熱結合しています。
ここでの固定抵抗は一番安い炭素皮膜抵抗(5%)ですが、できれば金属皮膜抵抗(1%)を、またコンデンサも
高価でも高性能な物を採用しましょう。おっと、セメント抵抗も見えます。これが発熱するのは危険な状況ですが、
それだからこそ、安全な場所に配置します。
【p.143 表3.10 計算表(Excel)】
下の表を「右クリックして保存」すればExcelファイルをダウンロードできます。「仕様」パラメータを変更して、いろいろ試してみてください。
【EAGLEによるプリント基板パターン】
回路図およびプリント基板パターンCADの「EAGLE」により作成したプリント基板パターンです。
部品面
回路図(p.142,図3.36)では抵抗R6が並列に2個ありますが、ここではR6,R7としてあり、回路図のR7はR8となっています。
可変抵抗VRの端子番号は(1)が右側に回しきった方、(2)が中点、(3)が左側に回しきった方です。
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パターン面
←このパターン図を右クリック+保存すると、実寸のPDFファイルがダウンロードできます。